2020年4月から米国内のレストラン向けに提供されていた「OwnPlate」というテイクアウトの受注・決済サービスが【おもちかえり.com】というブランド名で、いよいよ日本でも6月24日から正式リリースになりました。
サービスを立ち上げたのは、Windows 95の開発者として知られる世界的著名プログラマーの中島聡さんです。サービスの内容と開発の経緯について解説します。
テイクアウトの受注・決済ページが無料で作れる!
【おもちかえり.com】はCOVID-19により厳しい店舗運営を迫られている飲食店を支援するために開発されたテイクアウト(ピックアップ)のオンライン受注・決済サービスです。
既存のデリバリーサービスを利用すると売上げの15〜30%もの手数料がかかる為、導入が難しいという飲食店オーナーも【おもちかえり.com】を利用すれば、簡単な登録のみで無料でテイクアウトのオンライン受注・決済ページを持つことが出来ます。
通常このような販売サイトを自前で構築するには、専門の業者に費用を支払って作ってもらう必要があります。自分で簡単にWebサイトが作れるサービスもありますが、商品ページや決済機能なども含めると初心者には難しいでしょう。
また【おもちかえり.com】は初期費用やシステム利用料、手数料など一切かからずサービス自体は無料で使用することが出来ます。
唯一の費用は、クレジットカード決済にStripeという外部サービスを使用しているので、決済成立ごとに Stripe への手数料が売上げに対して一律3.6%かかります。
この Stripe という決済代行サービスは、安全・手軽にクレジット決済を導入できる業界最大手のサービスで国内/海外で広く使われています。特徴は、初期費用や月額費などが一切無く、決済成立ごとに売上げに対して一律3.6%の手数料しかかからないというシンプルな料金体系です。
【おもちかえり.com】登録の流れとサイト表示例
【おもちかえり.com】ではトップページの「飲食店向けページ」から、おもに以下のような手順で簡単に店舗の登録が出来ます。
まずは上記の情報を入力して「公開」にチェックを入れ「保存」ボタンを押すだけで、お店情報の登録とWebページ上への公開が出来ます。
登録した情報はこのような感じで表示されます。上から「カバー画像」「プロフィール画像」「店名」「お店の紹介文」そしてその下には登録した住所をもとに「Google Map」が自動表示されます。
マップの下を見ると登録した「電話番号」「ホームページ(登録した場合)」「営業時間」「定休日」「支払い方法」などが表示されています。
店舗の情報が登録出来たら、メニューを登録していきます。
メニュー情報の登録後、Webページ上の表示はこのような感じになります。
メニューの「写真」と「説明文」は注文率を上げるのにとても大事な要素ですね。
クレジット決済サービスStripeの設定
最後に「お支払い」の設定を登録します。【おもちかえり.com】ではクレジットカード決済に「Stripe」という外部決済サービスを採用しています。設定時は「Stripe」の設定画面に自動的に切り替わります。
以上のお支払い設定が完了すると「Stripe」の管理画面でいつでも売上げや支払いのデータを確認することが出来るようになります。
「Stripe」の管理画面の詳しい見方や使い方については別途、公式サイトのサポートページ等で確認する必要があるでしょう。またこの管理画面にアクセス後に「写真付き身分証明書」のスキャン画像の提出も必要になるようです(個人事業者の場合)。
よって【おもちかえり.com】初期登録の際には、
・「メールアドレス」
・「パスワード」
・「振込先銀行口座」
・「店舗のプロフィール画像・カバー画像」
・「写真付き身分証明書」
を準備してから登録作業を開始するとスムーズかと思います。
また「メニューの写真」と「メニュの説明文」も商品点数ごとに必要となります。顧客が商品を購入するかどうかの決め手になりますので重要です。【おもちかえり.com】のサイトに「料理を撮影するためのコツ」というページが用意されていますので参考になさって下さい。
立ち上げたのは世界的プログラマーの中島聡さん
【おもちかえり.com】は、米マイクロソフトでWindows95を開発したことで有名な世界的著名プログラマー中島聡さんの考案でプロジェクトがスタートしました。その中島聡さんが代表理事を務める非営利法人「一般社団法人シンギュラリティ・ソサエティ(Singularity Society)」によって【おもちかえり.com】は開発/運営されています。
中島聡さんはアメリカのシアトルに在住。氏が発行しているメルマガによると、COVID-19の感染拡大により各地で行われた都市封鎖や強制自粛の影響で、多くのレストランやバーが苦境に陥るのを目の当たりにしたそうです。
多くの店舗がテイクアウトやデリバリーを始めましたが、張り紙を店頭に張ったり、電話で注文を受けたりというアナログな運用しか出来ていなかったそうです。
既存のデリバリーサービスを利用するには商品代金の15〜30%もの手数料とカード決済手数料を取られることになり、資金力のない個人経営の飲食店が導入するのは難しい状況でした。
テクノロジーの技術で経営の危機に立たされているレストランやバーを支援したいと考え、中島さんが数名のエンジニアに声をかけたのが【おもちかえり.com】開発のきっかけになりました。
2020年3月20日に開発がスタートし、40日間ほどで米国内でのベータ版公開を実現させました。開発に関わったメンバーはたったの6人で、そのなかでもメインの作業はおもに中島さんを含む2人だけだったそうです。
しかも2人ともほかに仕事を持ちながら、ボランティアとして開発をしていたとのことで、その高い技術力もさることながらレストラン支援への熱意を強く感じるエピソードですね。
無料でサービスを提供できるのも、非営利法人シンギュラリティ・ソサエティがボランティアで開発・運用しており、設計の時点で運用に人手や費用が掛からないように工夫されているからとのこと。無料でのサービス提供は利用店舗が増えても継続していくそうです。
なお、本サービスは食品流通業界大手の伊藤忠商事とパートナーシップを結んでおり、同社はサービスの普及促進やシステム設計への助言、飲食店への導入支援などで協力していくとのことです。
認知度が上がり多くの人に使ってもらうことが大事
この記事を執筆時点で【おもちかえり.com】に店舗登録されているのは、リリース間もないこともあり都心を中心にまだ9店舗ほどです。(2020/06/26現在)
※2021/4/12 現在: 登録店舗数は90店舗以上に増えました!
登録店舗の一覧ページ。ここから各店舗の個別ページにいくことが出来ます。
【おもちかえり.com】は、お店がサービスの利用を開始するのにコストがかからず比較的簡単に始められるので、認知が広がれば登録店舗数も今後もますます増えるでしょう。
顧客もこのサービスを利用して注文することでお店の支援につながりますし、デリバリーと違って第三者との接触を極力減らすこともでき(感染対策)、高い配送料を払うことなく商品を購入出来るというメリットもあります。
この記事は飲食店の方に少しでも役立つように書きましたが、お店の方以外でも、もし行きつけのお店が厳しい状況にあるとか、近隣のお気に入りのお店を支援してあげたいという方は、是非【おもちかえり.com】という無料のテイクアウトサービスがあることを教えてあげてほしいと思います。
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