North社のスマートグラスFocals 2.0、Googleの買収により開発を終了

Focalsのレンズに映し出される情報

6月30日、スマートグラス「Focals」を開発・提供するNorth社は、公式サイトでGoogleに買収されたと発表しました。今後の事業はGoogleに引き継がれますが「Focals」という製品としては終了ということになるようです。「Focals」という製品の特徴と今後の展開などについてお伝えします。

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先進的なスマートグラス「Focals」を開発したNorth社とは

先進的なスマートグラス「Focals」を開発・提供するNorth社(カナダ)は、以前から話題に上がっていましたが、6月30日、公式サイトで同社がGoogleに買収されたことを発表しました

North-Google

North社は、2012年に前身となる「Thalmic Labs」を設立しました。初期は、ジェスチャーベースのコントロールアームバンドMyo(マイオ)」を開発。

コントロールアームバンド「Myo」

その後、網膜に情報が直接投影される技術を用いた革新的でありながら、見た目は極めて日常的なスマートグラス「Focals」に開発の軸を移しました。

「Focals」

製品は高い評価と多くの関心を集めましたが「Focals」を手に入れるにはブルックリントロントのショールームに赴く必要があり、広範囲な需要を満たすことが出来ていませんでした。

NORTH'S FOCALS SMART GLASSES BROOKLYN STORE

また、2020年に次世代製品「Focals 2.0」のリリースを予定していましたが、今回の買収により発売の予定は無くなりました。North社の培った技術やノウハウは今後Googleから発表される製品に反映されていくのではないかと思います。


North社はGoogleによる買収後も、拠点であるカナダのオンタリオ州キッチナー・ウォータールーにて、同地域のGoogleのチームと共に開発に加わるそうです。

 

スマートグラスとしてのFocalsの特徴

「Focals」は見た目は本当に普通のメガネと変わらないので、視界を遮るような過剰な情報は投射されないようにデザインが整理されていました。


こちらはスケジュールやリマインダー関連ですね。ミーティングの予定やワークアウトの時間を教えてくれます。


こちらはルート案内ですね。目的地までの距離や、徒歩か車(Uber)での移動時間が表示されています。


こちらはチャット表示ですが、通知が入ったのを確認する程度だったかもしれません。将来的には声をAir Podsのマイクで拾ってテキスト変換することで、リアルタイムでチャットが出来るかもしれませんね。


「Focals」はAlexaとの連携も可能でした。Alexaに話しかけて冷蔵庫内の情報から買い物リストを表示させたり、タイマーを設定したりしているようです。「Focals」のレンズにAlexaからの回答が表示されています。

表示される簡単な通知はApple Watchのそれと似ていますが、端末をわざわざ見なくても目の前に表示されることが革新的ですよね。表示のコントロールはすべてこの「Loop」というコントローラーを人差し指にはめて親指で操作する仕組みになっていました。

「Focals」の操作に必要なLoop

また「Focals」は以下のような他社のアプリサービスと連携し様々な通知を表示出来る仕様になっていました。

「Focals」が連携する他社アプリサービス

「Focals」が連携する他社アプリサービス

Focalsスマートグラス、アプリ、サービスのサポートは終了

公式サイトによると今回の買収により「Focals」のスマートグラスとそのサービスは終了し、既存のユーザーは2020年7月31日以降は製品が利用できなくなるそうです。

「Focals」と専用アプリ


サービス終了にともない、アプリを通じてのFocalsへの接続や使用、Northアカウントへのアクセスが出来なくなります。また、Focalsアプリにもログイン出来なくなりGoogle PlayとApple App Storeからも削除されるとのことです。

Focalsを愛用していた方にとっては、なんとも残念な話ですね。Googleによって既存ユーザーの製品サポートは継続することも可能だったと思いますが、新たに製品として出す際はイメージをガラッと変えたいのかもしれません。

North社が生み出した「Focals」には、ただのデジタルデバイスに止まらない、デザインへのこだわりと顧客一人一人にフィットした製品を手渡したいというこだわりが強く感じられました。

「Focals」

オーダーメイドのスーツや革靴を作るようなクラフトマンシップを、事業がGoogleに移っても失わないで欲しいと思います。素晴らしい製品となって帰ってくることを期待しましょう。

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