国際送金サービスで有名なWise (旧:TransferWise) ですが、日本でも2020年9月から「マルチカレンシー (多通貨) 口座サービス」、そして2021年1月には「Wiseデビットカード」の提供が開始されています。
Wiseの「マルチカレンシー口座」や「Wiseデビットカード」を作ってみたいけど「よく分からない」「難しそう」と感じる方もいるかもしれません。この記事では、Wiseアカウントの作成から「マルチカレンシー口座」と「Wiseデビットカード」の作り方まで詳しい画像付きで解説します。
Wiseの提供するサービス
Wise (旧:TransferWise) は、2011年に国際送金サービスとしてイギリス/ロンドンでスタートしました。(※2021年2月22日、社名をTransferWiseからWiseに変更。)
2017年には、Wiseアカウント上で海外の銀行口座情報を取得できる「マルチカレンシー口座」のサービスをイギリスとヨーロッパで開始。2018年には「マルチカレンシー口座」に紐づけて多通貨決済が可能な「Wiseデビットカード」の発行を開始しました。
マルチカレンシー口座
日本でも、2020年9月から「マルチカレンシー口座」のサービス提供が開始されています。Wiseアカウント上で世界50種類以上の通貨を残高として保有でき、資金の移動(両替)時には最も有利な為替レートが適用されるため、海外支出に関連した手数料を最小限に抑えることができます。
送金する前に正確な手数料をアプリで簡単に確認できる
また、Wiseの「マルチカレンシー口座」では、Wiseのアカウント上で現地通貨の銀行口座情報を簡単に取得することができます。
通常、海外の銀行口座を開設するには、現地支店に赴く必要があり、時間と費用もかかり簡単なことではありませんが、Wiseではそういった手間は必要ありません。
現在、現地通貨の銀行口座情報の取得には、以下の10通貨が対応しており、今後も対応通貨は増えていくことが予想されます。
米ドル、オーストラリア・ドル、シンガポール・ドル、ニュージーランド・ドル、ルーマニア・レイ、ハンガリー・フォリント、ユーロ、英ポンド、カナダ・ドル、トルコ・リラ
「マルチカレンシー口座」では、国際送金や両替だけでなく、口座間の資金の移動や保管のほか、海外からの支払いを現地通貨で受け取ることも可能になります。
海外在住者だけでなく、複数の国で事業をしている方や、海外から支払いを受けるフリーランサーなど、多くの人にとって大きなメリットになりますね。
Wiseデビットカード
2021年1月には「Wiseデビットカード」のサービスも日本で提供が開始されました。「Wiseデビットカード」は「マルチカレンシー口座」に紐付いており現地通貨での決済が可能になります。
通常、日本発行のクレジットカードで海外決済をすると、為替手数料や海外事務手数料などが発生しますが「Wiseデビットカード」で現地通貨で決済すればそういった手数料がかかりません。
海外在住者だけでなく、日本から海外オンライン決済をする方にとっても必須のサービスになりそうです。
「Wiseデビットカード」は初回カード発行時に1,200円のみ必要ですが、年会費等はいっさいかかりません。アプリで通貨ごとの残高を簡単に確認でき、店頭ではタッチ決済(コンタクトレス決済)にも対応します。
新規アカウント登録は簡単
まずは、アカウントの登録方法から解説します。WISE 公式サイトから「会員登録」をクリックします。
メールアドレスを入力して「続行」を押します。あるいは、Facebook、Google、Appleのアカウントでサインアップすることも可能です。
「個人アカウント」か「法人アカウント」かを選択します。ここでは「個人アカウント」を選択しますが、あとから「法人アカウント」を追加することもできます。
主な居住国をプルダウンから選択します。
本人確認用に携帯番号を入力して「認証コードを送信する」をクリックします。
6桁の認証コードが届くので、正確に入力して「送信」を押します。
最後にパスワードを入力して「次へ」。
以下の画面になり、アカウントが作成されました。「次へ」を押します。
以下のような「送金手続き」の画面になりますが、すぐに送金する必要がなければ、いったん右上の Xを押して閉じてしまってOKです。
Wiseのホーム画面が表示されます。ここまでの状態では、アカウントが作成されただけで個人情報の登録が未完了な状態ですので、それらの登録を完成させていきます。
アカウントの登録を完了させる
ホーム画面のアカウントメニューボタンを押すと「アカウントの登録を完了させる」という項目があるので選択します。
アカウントボタンをタップ
「アカウントの登録を完了させる」をタップ
アカウント作成時に「個人アカウント」を選択済みでしたが、ここでもまた確認されますので再度「個人アカウント」を選択。
氏名(半角ローマ字)、生年月日、住所を登録していきます。電話番号は入力済みになっていると思います。入力が終わったら右上の「保存する」を押します。これでアカウントの登録は完了です。
Wiseデビットカードを発行する
日本でも、2021年1月からWiseデビットカードのサービス提供が開始されました。海外現地の通貨で決済できるため、カード決済時には為替手数料や海外事務手数料などが発生しません。
カードの発行はとても簡単なので順を追ってご説明します。まず「カードを注文する」を押します。
以下の画面になるので「発送先の住所を入力する」を押します。
送付先住所を入力していきます。カードは海外から郵送されるのですべて英字で入力する必要があります。入力が完了したら「次へ」。
配送オプションで、通常の国際郵便か、DHL(国際宅配便)のどちらか選択します。「続行」。
カード名義と配送先住所を確認して間違いなければ「続行」を押します。
入金方法で「デビットカード」か「クレジットカード」のどちらかを選択します。支払いにはVisaかMastercardしか使えないようです。「送金手続きへ進む」。
支払い用のカード情報を入力します。入力したら「Pay 1,200 JPY」を押します。
ここで、本人確認手続きの画面になります(すでに済んでいる場合はスキップされます)。顔写真付き身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証など)が必要になります。
本人確認
以下のようにQRコードが表示されるので、スマホのカメラでスキャンして表示されたリンクを開きます。(※最初からスマホのブラウザかアプリで操作していた場合は、このQRコード画面はスキップされると思います。)
スマホのブラウザでリンクを開くと、Wiseのアカウントログイン画面が開きます。ログインするとSMS認証用のセキュリティコードが自動で送信されるので、届いたコードを画面に入力して「完了」をタップします。
リンクが開いたらログインする
6桁のセキュリティコードを入力して「完了」
以下の画面になるので「開始する」をタップして本人確認の手続きを進めます。マイナンバーカードで本人確認を行うのが簡単なのですが、持っていない場合は運転免許証やパスポート等を選択することもできます。ここでは「マイナンバーカードで本人確認を行う」を選択します。
本人確認の画面になるので「開始する」をタップ
身分証明書の種類を選択する
画面の指示に従って3種類の写真をスマホのカメラで撮影します。撮影するだけなので難しいことはありません。
4桁の認証コードが表示されているので紙に書く
指示通りに3種類の写真を撮影する
撮影が完了したら「3つの写真を撮影しました」をタップ。次の画面で、認証コードの紙を持った状態で自撮りした写真をアップロードします。
「3つの写真を撮影しました」をタップ
指示に従い自撮り写真をアップロード
以下の画面になるので氏名を全角カタカナで入力して「続行」。これで本人確認用の書類の提出は完了です。最初パソコンで操作されていた方は、ここでいったんパソコンの画面に戻るよう促されます。(※おそらく最初からスマホで操作していた方は関係ないと思います)
氏名を全角カタカナで入力
ホーム画面に戻ると以下のような表示になっていると思います。「本人確認を完了する」というボタンが表示されているのでクリックします。
すると「Wiseを利用する目的は何ですか?」というアンケート的な画面が表示されます。なぜか私の場合、ここだけ英語表示になりましたが、通常は日本語で表示されると思います。
プルダウンから目的に合ったものを選択します。ここは適当に選んでおけば問題ありません。
本人確認の手続きはすべて完了したようで、ホーム画面が以下のようになりました。「送金はまだ開始されていません」と表示されていますが時間が経つと消えます。
メールの受信を確認するとWiseからメールが届いています。注文したデビットカードの到着日の目安が表記されています。あとはカードの到着を待つだけです。
また、しばらくすると以下のように「提出した本人確認書類が承認されました」という内容のメールも届きます。私の場合はその日のうちに届きました。承認に何日もかかるということは基本なさそうです。
Wiseデビットカード到着・有効化
1週間ほどでWiseデビットカードが到着しました。Wiseアプリでカードを有効化しておきます。
Wiseアプリの「アカウント」タブで「有効化」をタップします。次の画面で「有効化する」をタップ。
「有効化」をタップ
「有効化する」をタップ
カード表面の6桁のアクティベーションコードを入力して「有効化」をタップします。次の画面で4桁の暗証番号(PIN)を確認できます。(PINはいつでも確認できます。)
6桁のアクティベーションコードを入力
4桁の暗証番号(PIN)を確認できる
通知を有効にしておくか尋ねられますので選択します。「お手続きは終了です!」と表示されたら資金をチャージしてカードをすぐに使うことができます。銀行振込かデビットカードで残高のチャージが可能です。
通知を有効にするか選択
チャージすればすぐにカードが使える
日本の銀行口座を追加する
日本にある自身の銀行口座情報は「受取人」→「Your account」から登録することができます。Wiseアカウント上の海外通貨の残高を日本の銀行口座に移動することができます。「自分の口座を追加ください」をクリックします。
銀行口座の追加画面が開くので「通貨」のプルダウンから「JPY 日本・円」を選択します。
以下のように表示が変わるので、自身の銀行口座情報を入力します。入力したら「確認」を押します。
自身の銀行口座が登録されました。
マルチカレンシー口座を取得する
Wiseでは50種類以上の通貨を保持・移動することができますが、その中で、現在、10種類の通貨で海外の銀行口座情報を取得することができます。
現地で居住所の申告や、銀行支店などへ訪問することなく、現地の銀行口座情報が入手できるのは画期的ですね。
海外の銀行口座情報を取得するにはまず「+ 通貨を有効にする」を押します。
以下の画面になるので「残高を有効にする」のプルダウンを開きます。
「残高」をタップ
プルダウンを開く
「現地口座情報が付与される通貨」として以下の10通貨が表示されます。ここでは「US ドル」を選択してみます。
「US ドル」を選択して「確認」を押します。
USドルの残高画面で「銀行口座情報を取得する」をクリックします。
「銀行口座情報」をタップ
「銀行口座情報を取得する」をタップ
USドルの口座情報の取得に、最低限20ドル以上の入金が必要になります。入金の際の通貨を選ぶことができますが、日本の銀行口座から入金する場合は以下のように「日本円」を選択します。
「送金の目的」を聞かれるので、プルダウンから該当するものを選択しておきます。
支払い方法で「銀行からの振込」「デビットカード」のどちらかを選択します。振込の方が手数料が低いです。ここでは銀行振込を選択します。「送金手続きへ進む」。
以下のように、Wiseの振込先情報が表示されるので、ネットバンキングかATMから振込を行います。ちなみに振込先は「ワイズペイメントジャパン」の三菱UFJ銀行の普通口座です。振込みが完了したら「振込を行いました」をクリックします。
手続きが完了し「入金確認中です」と表示されます。
USドルの残高画面に戻ると、以下のような画面になります。平日であれば当日中か翌営業日中には入金が確認されるかと思います。
お客様のUSD残高へ >
「入金確認中」
入金が確認されるとメールで知らせてくれるので、USドルの残高画面を確認すると、以下のように「USドル口座情報」が取得できたことが確認できます。
日本円をドルに変えて資産を守る
ご存知の通り、2022年5月現在、もの凄い勢いで『円安』が進んでいます。ついに、1ドル130円を記録しており、今後もさらに円安が進行することが予想されます。
日本円の価値が下がり続ける
このままでは、日本円を持っていても、物価はどんどん上がる中、お金の価値が下がり続けるだけです。今年4月の初旬頃は、1ドルが122円ほどでした。それが1ヶ月足らずで130円です。
これが150円→200円と、日本円が暴落していく可能性を考えると、ドルで持っている方が現実的ではないでしょうか。
Wiseのドル建て口座に資金を移動
Wiseではアプリ上から『外貨の銀行口座情報』を取得することができます。USドル建ての口座に、少ない手数料で資金をかんたんに移動させることが出来ます。
資産を防衛する手段として、余剰資金は、WiseでUSドルに変えておくというのは、非常に有効な選択肢だと思います。アプリですべて完結し、日本円に戻すのも簡単です。
まずは、WiseでUSドルの口座情報を取得しておき、いつでも資金を移動できる状態を作っておくと安心ですね。今後、急激に円安が加速する可能性もあります。
最初は、少額でテスト送金してみて、その後に必要な金額を移動させると安心だと思います。
資産の自由な移動・分散化が重要な時代
この記事では、Wiseの新規アカウント作成から『Wiseデビットカード』と『マルチカレンシー口座』の取得方法について解説しました。
既存の金融サービスを使った国際送金や海外決済では、これまで多くの手数料を支払う必要がありました。Wiseのアカウントを作り、資金の移動や決済を切り替えるだけで、手元に多くの資金が残せるようになることは間違いありません。
既存の非効率でコストがかかる古いやり方から脱却していきましょう。
また、日本円だけに依存することが、明らかなリスクになってきています。資産を分散して保管できる仕組みを準備しておけば、いざという時にすぐに対応できます。
是非、本記事を参考にWiseアカウントを作成して、外貨口座を取得してみて下さい。